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特別受益に時効はある?

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生前贈与や遺贈など、遺産の前渡しと考えられるものについて、特別受益として相続財産に加算して計算することを特別受益の持ち戻しといいます。

この特別受益をインターネットで検索してみると
① 特別受益の時効はない
② 特別受益の時効は10年
という2つの情報が出てきます。
一見矛盾しているように見えますが、どちらも正しい情報です。

ちょっとわかりにくくて誤解している方も結構いらっしゃいますが、ここを間違えて相続対策をしたり、分割協議をすると取り返しのつかないミスを犯してしまうかもしれません。

ということで今回は、特別受益の時効について説明していきましょう。

遺産分割協議では特別受益に時効はない

遺産分割協議の場合は、何十年前の贈与でも特別受益と認められれば相続財産に持ち戻しすることが可能です。

20年前に肩代わりしてもらった借金500万円でも、40年前に出してもらった家のローンの頭金1000万円でも、特別受益として本人が認めるか、調停等で認められるかすれば持ち戻しが可能です。
ですので、遺産分割協議の際に、過去に被相続人から他の相続人が贈与を受けたものについて、特別受益と考えられる場合は、持ち戻しを主張することが可能です。
ただし特別受益に該当する場合でも、ほかの相続人が主張しなければ相続財産への持ち戻しをする必要はありません。あくまでほかの相続人が持ち戻しを希望する場合に限ります。

遺留分の特別受益を主張できるのは過去10年分

一方、遺産の分割協議ではなく「遺留分」を計算する際は、過去10年分の贈与までしか認められません。

遺産分割協議にならず遺留分しか受け取れないケースとしては、被相続人が遺言でほかの相続人に相続財産を多く渡す場合や、生前にすでに相続財産になるはずだった資産の多くを贈与してしまっている場合などが考えられます。
その場合に主張できるのは相続開始時から過去10年間の、特別受益に該当する生前贈与に限られますので、それ以前の生前贈与分については、特別受益に該当するとしても持ち戻しの対象にはなりません。

10年以上前も持ち戻しできる例外

ただし「10年以上前だったとしても、当事者双方がほかの相続人の遺留分の権利を侵害することを知ったうえで行った場合は、10年以上前の贈与だとしても持ち戻しの対象になる」という例外があります。

これは10年の時効が誰かの権利を侵害してはいけないということで、明確な悪意がなくてもいりゅ分を侵害することを認識している程度でも十分とされています。

相続はまとまったお金が動くだけでなく、家族が重ねてきた何十年という時間の間に積み重なった感情のぶつかり合いになることもあります。「なんとか〇〇には財産を渡さないようにできないか」というようなことは非常によくある相談の一つで、そのために相続人二人のうちの片方にすべての財産を生前贈与する、というような方もいらっしゃいます。
ただそのような小細工では法律で保障された相続人の遺留分を受け取る権利までは奪えません。あくまで法律で許されている範囲の中で工夫することが大事で、下手なことをすると後で相続人同士の争いが始まり余計に負担を強いることになるかもしれません。

相続を法定相続通りではなく、自由にカスタマイズして自分の意志を通したい場合は、自分で調べるのはもちろん大事ですが、判断する前に相続のプロに相談するようにしたほうが安全でしょう。

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