遺言執行者とは
遺言執行とは、遺言書に書かれた内容に従って遺産を受け渡す役割を果たす人を指します。せっかく遺言書を用意しても、それが実現しなければもったいないですよね。
法律用語としては(いごんしっこうしゃ)と読む方が正解ですが、どちらで読んでも間違いではありません。
通常遺言執行人は遺言をする方が、自分が信頼している人や適任と思われる人を選んで、遺言書の中で指名する形で決まります。相続人が子供たちなら、その中でも一番しっかりしている人を指名したり、相続人の間で揉めそうな場合は遺言書を作成するときにお世話になった弁護士に指し遺書から頼んでしまうこともあります。
遺言執行者が遺言の中で指名されていない時は、家庭裁判所に申し立てをし、遺言執行者を選任することができます。
(遺言執行者の指定)
民法 第1006条民法第1006条 – Wikibooks
- 遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
- 遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
- 遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。
誰が遺言執行者に
ドラマなどで資産家が亡くなると執事や弁護士が遺言執行者に指名されていたりしますね。相続などの話は利害関係のある相続人がするよりも、利害関係のない第三者がすすめる方が相続人同士の争いに発展しにくいです。相続で争いがある場合は弁護士、不動産がある場合は司法書士などを遺言執行人にする方も多いです。また信託銀行にすべてお任せされいているというケースもありますね。
ただ弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのは報酬が発生してしまいます。信託銀行に丸ごと任せている場合はもっと高額になることもあります。法律的には遺言執行者は第三者である必要はないので、安く済ませたい場合は遺言執行者は相続人や親族の中から信頼できる人を指名して、必要な手続きなどがあればそれだけ専門家に依頼するというのも賢い選択でしょう。
ただし、「破産して財産を管理することができない人」と「未成年者」は、財産を管理したり処分したりという法律行為ができないので、遺言執行者に指名することはできません。
(遺言執行者の欠格事由)
民法第1009条 – Wikibooks
民法 第1009条
未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。
遺言執行者の指名は必要?
遺言執行者は、遺言があったら必ず必要というわけではありません。執行者でなければ絶対にできないことがあるとき以外は、いてもいなくても構いません。
遺言執行者が必要な時
非嫡出子の認知又は認知相続排除を遺言書でする場合は、その手続きを行える方必要になるので、遺言執行者が必ず必要になります。指名しないで亡くなった場合は、家庭裁判所に選任の申立てをしなければなりません。
遺言執行者を指名した方がいい時
遺言の内容に納得しなそうな相続人がいる場合は法的に権利義務をもつ執行人を指名した方が、遺言書の内容を円滑に実現できるでしょう。
相続人だけでなく相続人の家族親族が口を出しくることもあるので、少しでも不安要素があれば検討することをおすすめします。
また、遺言の内容を伝えたらややこしくなりそうだなとか、穏便に済みそうもないと予想される時は、親族ではなく弁護士や税理士などの第三者を指名するほうが、相続人同士でゴタゴタしにくいでしょう。
それから相続人が認知症で法律行為ができない場合は、執行者がいない場合は相続の手続きなどで代理人を立てるなどの手続きが必要になることがあります。
遺言の執行について全権をもつ遺言執行者がいれば、余計な手続きをしなくても代わりに手続きを行えるので便利です。
これは認知症に限らず、忙しいとか住まいが遠方だとか体調がすぐれないなど、手続きを代わりにして欲しい方がいそうな場合も当てはまります。
遺言執行者を指名する方法
遺言の執行を託したい人がいる場合は、遺言書を書く際に遺言書の中で指名することになります。
記載する内容は、①執行者の氏名、②執行者の住所、③執行者に選任するという意思、の3点を記載する必要があります。
遺言書に記載がない場合、遺言書で指名された執行者になれない場合、遺言執行者本人がその指名を断ったなどの事情がある場合は、相続人の利害関係人が家庭裁判所に申し立てることで、遺言執行者を選任することができます。
遺言書で執行人を指名する場合は、相手が執行人を引き受けてくれるかどうかをしっかり確認しておきましょう。