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散骨(さんこつ)

用語集

散骨とは

散骨とは、火葬後の遺骨・遺灰をお墓に納めずに、海・山・河川などに撒くことを指します。遺骨・遺灰を自然に還すいわゆる自然葬です。 近年日本人のライフスタイルが変わり、地元を離れる人が増えました。そのためお骨は先祖代々のお墓に納めて供養するということが難しくなっています。

また宗教観・生死観など個人の思いも多様化しており、仏式の供養にこだわりが減っていることも理由の一つでしょう。仏教的な儀式やお寺との関わり、先祖代々のお墓への思い入れなどは急激に薄れており、個人が自分なりのエンディングを考えるのは自然の流れなのかもしれません。

それから最近はペットと一緒に眠りたいと希望される方です。ペットのお骨は法律上は廃棄物、つまりゴミと同じ扱いになるので、人間と同じお墓に入れることは法律上問題ありません。ただ墓地の規定、宗派の考え方、親族の反対などで、いまのお墓に一緒に埋葬するのが難しい場合もあります。
ペットと人とのかかわりあいが濃くなってこうしたニーズが高まっていることもあり、生前愛していたペットのお骨と一緒に納められる納骨堂や自然葬なども増えてきていますが、より自然にペットのお骨と一緒に自然に還るといった希望から、山や海などへの散骨を希望する方も増えています。

散骨は合法?違法?

法律で、遺骨を埋葬していいのは墓地または納骨堂など、地方自治体の許可を受けた場所に限られています。

ただし遺骨を遺灰にして撒くいわゆる「散骨」は墓地、埋葬等に関する法律に規定がない行為ですなので法的な問題はありません。

遺骨は違法、遺灰は合法

散骨して合法なのは粉状にした「遺灰」であって、骨の形を残した「遺骨」を撒くのは死体遺棄罪に相当する恐れがあります。
骨の形が残っていたらダメ、粉になっていたらわからないから大丈夫、という感じでしょうか。

(死体損壊等)
刑法 第190条
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の拘禁刑に処する。

刑法第190条 – Wikibooks

参考:厚生労働省
墓地、埋葬等に関する法律の概要 (mhlw.go.jp)

遺骨と遺灰の違いは?

火葬すると一般的には形のない粉状の灰と形の残っている骨が残ります。これをあわせて遺骨または遺灰と呼ぶことがありますが、厳密には遺骨は骨の形が残っているもの、それに対して遺灰は遺骨を粉骨により砕いて骨の形が残っていない状態のものを指します。
骨の形が残っていると、骨壺が大きくなるので納骨するにしてもスペースをとりますし、分骨して手元供養をするにも小さな骨壺に入れにくいので、最近は粉骨してもらい遺灰の状態で受け取りを希望する方も増えています。

散骨をする場合は遺灰でないといけませんので、遺骨は2mm以下の粉状にする必要があります。ご自身でお骨をすりつぶしても問題はありませんが、硬いものもありますししっかり粉状にするのは大変なので専門業者に依頼した方がよいでしょう。

そのほかに決まりも

  • 他人の所有地に許可なく散骨してはいけません
  • 自宅の庭に撒いた後に土地を売るときに、散骨した事実を「重要事項」として記載する必要があります
  • 散骨するのは問題ありませんが、散骨した場所を土で埋めたり墓標を建てたり特別な形でお祀りしてはいけません

散骨自体が合法でも問題が

遺族からすれば自分や大切な人の遺灰でも、他の人にとっては他人の人骨です。気持ちが悪いと思う方もいるでしょうし、畑や漁場の近くで撒けば近辺の収穫物への風評被害などの問題も出てきかねません。散骨が違法ではないからといっても、ひとに迷惑になる行為になってしまえば訴訟などに発展するりすくもあります。
場所によっては法律ではなく条例で規制されている可能性もありますので、散骨したい場所が決まっているなら、そちらの地方自治体に相談することをおすすめします。

散骨を専門業者に依頼する

散骨は自分ですることもできますが、専門の業者が請け負っているものもあります。個人の遺志が自分では難しいものの場合は業者に依頼するのも一つの方法です。

樹木葬

樹木葬とひとことで言っても、公園のような緑豊かな場所にまとめてお骨を納めたり、1本の木を人家族分の墓標代わりにして周りに希望する方の遺骨を埋葬したりするお墓のようなものと、遺灰にして樹木の根元に散骨する自然葬のタイプがあります。散骨する場所に特に指定がなく「自然に還ろう」という方には、手軽でよい方法でしょう。

ちなみに人骨に含まれるカルシウムは、植物の肥料にも含まれています。土に撒くことで、草木やその周りの生物に取り込まれ、循環し、あたらしい命の一部になるでしょう。

海洋散骨

海洋葬も非常に人気がある自然葬の一つで、たくさんの海洋葬の業者があります。散骨する場所も指定できますし解放感もあります。太古の地球で生物が海から生まれたことを考えると「海に還る」というのは自然なことだと思います。

ただ船を出して散骨するのでそれなりに費用が掛かることと、散骨を人を集めてする場合は天気が悪いと船を出せないという致命的な欠点があります。

業者はインターネットで検索すると無数に出てきますが玉石混交です。葬儀社に紹介してもらったりNPO法人などに所属しているところを探すなどした方が安心かもしれません。

宇宙葬

遺灰の一部をロケットやバルーンで宇宙に送り、月に送ったり、成層圏で燃やしたりするサービスがあります。非常に夢があるサービスですね。
空を見上げれば、いつでも供養できるというのも魅力的です。

ただし宇宙葬では、遺骨のすべてを宇宙に送ってくれるサービスはなく、大抵は数グラムだけを宇宙に送り、残りは別の形で供養する必要があります。死後は宇宙葬でとお考えの方は、残りの遺灰のことも忘れずに頼むようにしましょう。

業者に依頼するデメリット

散骨業者はインターネットでたくさんありますが、中には詐欺のような悪徳業者もありトラブルの噂は絶えません。
散骨という行為が遺族のいないところで行われることが多いので、実際に渡した遺灰をどうしたのか依頼した遺族の側が確認するのが難しいのが原因でしょう。

人生最後のイベントです。業者選びは慎重に行いましょう。

散骨のデメリット

遺灰を全て撒いてしまうとお墓には故人の遺灰がないので、お参りする人によって不在のお墓に疑問を感じてしまうかもしれません。また散骨してしまうと元には戻せません。よくよく考えて、結論を出しましょう。

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