被相続人とは
被相続人とは、相続財産を残す方、亡くなる方の方です。それに対して相続人は相続財産を受け取る方を指します。 ちょっとややこしいですが、相続財産をもらう方が相続人です。
相続財産は遺産とも呼ばれ、不動産や現金などのプラスの財産のほか、借金や義務などのプラスではないものも含まれます。ですから、もし「わたしは財産は全くなくてむしろ借金しかない」という方は負債を残す被相続人になりますので、財産がないからといって関係なくはないのです。
人が被相続人になるのは、相続が始まったとき。法律では死亡によって相続が始まると決まっていますので、人は死亡すると被相続人になります。
(相続開始の原因)
民法第882条 – Wikibooks
民法 第882条
相続は、死亡によって開始する。
被相続人が残す相続財産
相続財産とは遺産とも呼ばれ権利と義務の両方があてはまります。
相続財産になる権利は、家や土地などの不動産、現金預金・株券・車・貴金属などの動産、ゴルフ会員権など。
相続財産になる義務は、借金や税金などの支払い義務・買掛金・保証債務などが該当します。
民法の規定により相続人になるものは、被相続人が亡くなってから3か月以内に、相続放棄または限定相続の手続きをしない場合、遺産がプラスかマイナスかにかかわりなく、自動的に一切の権利義務を承継する単純承認で相続することになってしまいます。
ご自身が残す相続財産がマイナスの場合は、相続人になる予定の親族には前もって伝えておいた方がいいでしょう。
逆に自分が負債の相続人になりそうな場合は、できるだけ早く相続財産の全体を確認して、相続手続きが遅れないように動きましょう。自分で調べるのは難しいという方は、専門家に依頼すると楽ですし間違いなく進められるでしょう。相続財産や相続人の調査だけをとりあえず頼んでみるだけなら、行政書士や相続カウンセラーが費用が安くすみます。
そのあとの揉め事や裁判関係のことを頼みたければ弁護士に、相続税関係のことを任せたいなら税理士に、登記があるなら司法書士に頼むことになるでしょう。
(相続の一般的効力)
民法第896条 – Wikibooks
民法 第896条
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
財産をだれにあげるかは被相続人が決める
人が亡くなるとその方は被相続人となり、配偶者がいれば配偶者は必ず相続人になります。そして直系卑属(子供がいれば子供、子供が相続人になれず孫がいれば孫)が、直系卑属がいなければ直系親族(父母がいれば父母、父母が相続人になれず祖父母がいれば祖父母)が、どちらもいなければ兄弟姉妹が相続人になると法律で決まっています。
ただよく勘違いされている方がいますが、これは法律で相続人が決まっているだけで、遺言書で財産を譲渡する意思を示すことで遺贈したり、あらかじめ契約書を作成して死因贈与の形で相続人以外にも遺産を渡すことができます。
ただし、法定相続人には法律で最低限保障された遺産の取り分である「遺留分」というものが存在します。遺言書に「遺産の全てを相続人以外に譲渡する」としたとしても、相続人がその内容に同意すればその通りになりますが、遺留分の権利をもつ相続人が遺留分を請求した場合は、遺言よりも遺留分の方が優先されます。