死後事務委任契約書とは
エンディングノートでお葬式や供養の方法など、ご自身の死後の希望を書いていきますが、その時にはもういないのであなたの希望を実行してくれる人が必要です。それをただお願いするだけではなく、法的に有効な形にするものが死後事務委任契約書です。 この契約書にはいろいろな意味と効果があります。
死後事務委任契約書で混乱を防ぐ
人が亡くなると、短期間(にたくさんの人が集まります。
みなさんそれぞれの故人への想いや悲しみがあるなかで、葬儀、片付け相続など膨大な量の手続きや処理を行っていきます。
その際に「誰が何をすればいいのか」が明確でないと分担がうまくいかず手続きが滞ったり、エンディングノートに書かれた内容を知らない人が処理してしまい希望とは違った方向に進んでしまうかもしれません。
死後事務委任契約書は、あなたが信頼する人、処理をお願いしたい人と契約を結ぶことで、あなたが希望する人にあなたが亡くなった後を託すことができます。託された方も、周りに余計な気を回さず「わたしが頼まれているのでやりますね」ということで進めやすくなるというメリットがあります。
契約者に義務が生じる
契約を結ぶわけですから相手には委任された事務を行う義務が生じます。
家族や親しい間柄で契約なんて堅苦しいとか、相手を信用していないと思われそう、と考える方もたくさんいらっしゃいます。
ただ信頼できる相手だからこそ「他の誰でもなくあなたに頼みたい」という気持ちを伝えること、それからお願いしたいことを明確にしておくためにも、契約書を作るのは有効です。
望まない介入を防ぐ
人が亡くなると家族や親族、友人知人などいろいろな考えの人が集まります。
普段のあなたの考え方やエンディングノートの内容を知らない人も当然いるでしょう。
例えばエンディングノートに「お葬式はお金がもったいないから質素に」と書いてあり配偶者がその通りに手配をしたら、盛大にやりたい親戚と大揉めになりひどい陰口が広まった挙句、親戚の方のやり方に変更されてしまうようなことも起こりえます。
また遺産の配分を仲の良い姉妹で行おうとしていたところ、押しの強い配偶者が前に出てきて都合のいいように仕切られてしまうというのも珍しい話ではありません。
こういったときに「信頼して契約をしているのでこの人決定に従ってください」というものがあれば、ただ頼まれている人よりも「わたしは本人から説明されてこうする義務があるので。」という風に対抗することができ、あなたの希望通りにするだけでなく依頼した相手も守ることになります。
頼みたいなら先に確認を
死後の事務は、自分が気を回したり口を出したりすることができない状態です。ですから、頼まれた内容があまりに大変なものだったりすると、断られてしまうかもしれませんし、やる気はあっても実現するのが難しいかもしれません。
死後事務委任契約書は、契約を結ぶ意味合いもありますが、契約に際してよく話し合い、いろいろな状況に備えるという意味もあります。手間やお金がかかるようなことを委任するときには、その分の費用やお礼金なども考えて委任するようにしましょう。
手続が面倒なことは専門家に任せましょう
死後の手続きは書類をそろえたり、遺族や関係者に内容を説明したりすることが多くなります。身近な人に頼みたいことはもちろん頼んでもよいと思いますが、手間が掛かることや手続きが面倒なものは、専門家に任せた方が安心でしょう。
争いや交渉事などがある場合は弁護士に
土地の登記があるものは司法書士に
税金が絡むものは税理士に
その他の手続き全般は行政書士という具合に
死後事務委任契約の相手も使い分けるといいかもしれません。