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遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)

遺産分割協議書 用語集

遺産分割協議書とは

遺産の相続は、各種の法律でかなり詳細に手順や基準が決まっています。

相続人が2人以上いる場合は、遺産を法定相続人がどのような条件でどのように分けるかを話し合い、相続人全員が同意したうえで遺産分割協議書を作成します。そうすることで、相続人それぞれの権利が相続人全員の合意を得たという客観的な証拠になり、相続の手続きなどの際にそれぞれの遺産を相続した方が権利者として証明されることになります。

遺産分割の協議又は審判等)
民法 第907条

  1. 共同相続人は、次条第1項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第2項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
  2. 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC907%E6%9D%A1

遺産分割協議書が必要な場合

前述の通り、遺産分割協議書は、遺産の分割について協議書に記載されている通りの内容で、相続人同士の間で合意されたことを他人に証明するためのものです。

不動産を相続登記する場合

不動産の相続では、複数人いる相続人のうちの一人が故人の土地を勝手に自分名義にしてしまうことも考えられます。
そこで不動産の相続手続きを行う法務局では「手続きに来た人が被相続人の不動産を相続する権利がある」という証明として遺産分割協議書を提示確認しているのです。

遺産分割協議書なしではできませんので遺産分割協議書の作成が必要になります。

ただし相続人が法定相続分で共有取得する場合は、証明する必要がないので遺産分割協議がなくても登記は可能です。

相続税の申告

相続税の申告時にも、遺産分割協議書を提示する必要があります。遺産がどのくらいあり、誰が相続したのかを確認するための資料になるわけです。

遺産分割協議が不必要な場合

相続人が一人の場合

相続人が一人だけのとき、または相続人が二人以上いても一人を除いてほかの人が相続放棄をしたときは、一人がすべて相続するので協議書を作成する必要はありません。

相続するのが現金のみの場合

遺産分割協議書は、相続の際に相続する権利があることを第三者に証明するために必要になります。不動産の相続、証券や車などを相続する際も、名義変更や解約などの手続きの際に使用します。
逆に言えば、自宅にある現金を相続するだけなら手続きはありません。ですから第三者に対して証明する必要がないので分割協議書は特に必要ありません。

遺言書の内容通りに遺産を分割する場合

遺言通りに分割する場合は、遺言書が相続内容を証明する書類になるので、遺産分割協議書は必要ありません。

法定相続分の割合で分割する場合

法定相続割合の通りに分割する場合も、分割協議書は必要ありません。例えば不動産の名義変更をする場合などは、遺言書や遺産分割協議書のかわりに、相続関係説明図を提示します。

遺産分割協議書の参加者

遺産分割協議は法律で定められた相続人全員の参加が必要です。全員参加しない遺産分割協議は無効になりますので、相続人の中に連絡をとりたくない人がいてもその人を除いて協議することはできません。ただし遺産分割協議は、全員が一堂に会する必要はありません。電話やメールなどで協議を行っても構いません。

法定相続人の中に連絡が取れない人がいる場合は、その人が本当に連絡が取れないことを確認したうえで、家庭裁判所にその相続人の代わりになる「不在者財産管理人」の選任の申立てをして管理人を選任したうえで、その管理人が裁判所から「権限外行為の許可」というのを得て、代わりに遺産分割協議に参加します。要するに、連絡がつかない人がいてもその人を無視することはできないのでとても面倒です。

とはいえ、相続人の誰かをのけ者にして遺産分割協議を勝手にやってしまう方もいないわけではないですし、その相続人が知らないうちに遺産分割協議が終わってしまうこともあります。ただ前述の通り、相続人全員が合意していない遺産分割協議書を作成しても、あとでその相続人が異議を唱えれば遺産分割協議書は無効になります。

遺産分割協議書の作り方

遺産分割協議書に特定の書式はありません。必要な項目が記載されており、相続人全員が署名捺印していれば問題ありません。

雛形はネット上で探すこともできます。

遺産分割協議書を依頼するなら

遺産分割協議書は、上記のようにご自身で作成することも可能です。相続の手続きの中でも難しいものではないので無料で行ってもよいと思います。

相続人同士で争いがある場合は弁護士が専門で、不動産の登記は司法書士が専門です。また相続税についての詳しい説明は税理士が専門です。

弁護士に依頼

遺産分割協議で、相続人同士で意見が対立しているとき、自分たちで解決が難しい場合は弁護士に相談しましょう。費用は安くありませんが、争いがある場合は司法書士・行政書士・税理士は法律で対応できないことになっています。ただし、弁護士ならだれでも相続手続きに詳しいわけではなく、相続は全くの専門外というところも少なくありません。できれば相続が得意な弁護士事務所に依頼することをおすすめします。

司法書士に依頼

相続の際の不動産登記は、士業のなかでも司法書士にしかできない専門分野です。そのため、司法書士のなかには相続全般を丸ごと請け負うスタイルのところも多いです。相続財産の中に不動産が含まれる場合は司法書士に一括で依頼すると楽でしょう。

行政書士に依頼

行政書士は、行政に提出する書類を作る専門家ですが、それ以外にも遺産分割協議書なども作れるところもたくさんあります。行政書士も相続を専門にしているところが増えてきていますし、全般的に司法書士よりも手数料が金額が安いので丸ごとお願いしても弁護士や司法書士と比べて、かなり安く片づけることができます。

税理士に依頼

相続税の節税などが絡んでくる場合は、相続全体を税理士に相談する方が多いと思います。その流れで遺産分割協議書も作成を依頼するのが一般的でしょう。

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