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遺言書(いごんしょ)

遺言書 死後の手続き

遺言書とは

遺言者=被相続人が残す遺言を記録したものです。遺言は遺言者が死亡したときから効力が発生します。
つまり、効力が生じたときにはすでに遺言者は亡くなっているので、内容が不明瞭だったり不備があったりしても本人に確認することができません。

また遺言は相続に大きく影響するため、しばしば混乱や諍いの原因になります。ですから、遺言について、民法では960条~1027条まで、なんと60以上の条文を割いて、形式・効力・執行・取消などこと細かに規定しています。

遺言書はどの種類でも法律で定められたとおりに作成しなければ有効なものとして認められません。

(遺言の方式)
民法 第960条

遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。

民法第960条 – Wikibooks

遺言書の種類

遺言書には大きく分けて4種類があり、そのうち3種類は民法968~970条でそれぞれ細かく規定されています。法律で決められているので、その条件を満たさない遺言書は無効、つまり効力が最初からないことになってしまいます。
遺言書をご自身で作成する場合は、記載方法や記載内容をよく確認して法的に有効なものを作成しましょう。

(普通の方式による遺言の種類)
民法 第967条

遺言の方式について定める。

  1. 自筆証書(第968条)
  2. 公正証書(第969条)
  3. 秘密証書(第970条)
  4. 特別の方式によることを許す場合(第2款 特別の方式(第976条 – 第984条))
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC967%E6%9D%A1

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、自分の手で書く遺言書です。お金はかかりませんし誰にもいわず好きなように書けますが、その中でも最低限のルールがあります。

① 全文直筆で書くことが絶対条件です。ただし財産目録はパソコン等で打って印刷しても構いません。
② 署名・捺印・日付も必須になります。日付は西暦でも和暦でも構いません。
③ 自筆証書遺言の記載内容に変更がある場合、変更した旨の記載と署名と捺印も必要です。

上記のほかにも、夫婦の連名で作成するとダメだったり

自筆証書遺言は、自分で簡単に書けますが、上記のルールに従っていなかったり、記載内容が不明瞭な場合などはその効力が認めらないという欠点があります。また有効な遺言書を作成して保管するところまでできたとしても、相続の際に見つけてもらえなかったり、見つけた人が捨ててしまうということもあります。
作成した場合は、最低でも作成した遺言の内容を実現してくれる人にしっかり託しておきましょう。

また法務局で「自筆証書遺言書保管制度」というものがあり、自筆証書遺言書を保管してくれます。この制度を使えば、誰かに書き換えられたり捨てられたりすることもなくなります。

ただし法務局に遺言書が保管されていることを誰も知らなければ意味がありませんので、法務局に保管していることは相続人に伝えておきましょう。

(自筆証書遺言)
民法 第968条

  1. 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
  2. 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全文又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
  3. 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
民法第968条 – Wikibooks

公正証書遺言

こちらは直筆で書かず、公証人役場であなたの希望する遺言書の内容を公証人に確認してもらい、遺言書の内容を書くところまでやってもらい、その証人もつけて、自分は署名と捺印をするだけです。

自筆証書遺言と違い作成するのにお金がかかりますが、内容は公証人という専門家が作成してくれるので、法律的に無効になる可能性が非常に少ないことと、公証人役場で保管されるので内容が改ざんされる恐れが全くないことがメリットです。
ただしこちらも自筆証書遺言と同じく本人が死亡したときに自動的に遺言書を届けてくれるわけではないので、公証人役場にあることを誰かに伝えておいていざというときはそれを受け取る必要があります。

(公正証書遺言)
民法 第969条

公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。

  1. 証人2人以上の立会いがあること。
  2. 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
  3. 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
  4. 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
  5. 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
民法第969条 – Wikibooks

秘密証書遺言

公正証書遺言と同じく公証人役場で保管してもらう遺言書ですが、「秘密」と書いてあるだけに証人にも公証人にも秘密にすることができます。つまり公証人がチェックをしてくれないわけですから「遺言の内容を誰にも見せずに、遺言書を作成したことを証明してもらうだけ」ということになります。
遺言書の内容が公証人にも言えないということはあまりないですし、秘密にするメリットよりもチェックしてもらい完璧な遺言書を作成するメリットの方が高いという判断から、この秘密証書遺言を選ぶ人はあまりいないようです。

(秘密証書遺言)
民法 第970条

  1. 秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
    1. 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
    2. 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
    3. 遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
    4. 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
  2. 第968条第3項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。
民法第970条 – Wikibooks

遺言書が法定の条件を満たさない場合

法律で定められた条件を満たさない場合はもちろん、いろいろな理由で遺言書が無効になることがあります。
・一部が直筆ではない
・捺印がない
・日付が年月しかなく「日」がない
・字が汚くて内容が不明瞭
・財産の指定があいまいで分かりにくい
・内容が公序良俗に反している(愛人への遺贈など)
・遺言作成時に認知症であった
・内容に事実の錯誤がある

これらを防ぐために遺言書のひな形がついているエンディングノートがあったり、インターネットで書式がダウンロードできたりしますが、やはり素人が作るものは無効になることが珍しくありません。

おすすめの遺言

一番のおすすめの遺言の形式は、公正証書遺言です。公証人はもともと法律関係の方が多いので法律の専門家です。そのプロと相談しながら作成して、しかも保管してもらえるわけですから一番安心できるといえます。

次におすすめなのが、弁護士・税理士・司法書士・行政書士などに相談して、自筆証書遺言書を作成する方法です。こちらも法律の専門家ですし相続などを専門にしているところも多いので安心でしょう。
ただしこちらは保管制度がセットになっていないので「自筆証書遺言書保管制度」を併用するとよいでしょう。

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