遺産分割調停とは
遺産分割調停とは、家庭裁判所に申し立てておこなう遺産分割の話し合いです。家庭裁判所が間に入って解決案を探します。
相続が始まると、相続人が複数人いる場合は遺産分割協議で相続人同士で分割割合について話し合います。
ここで遺産の分割について相続人全体で合意が取れない場合、相続人は家庭裁判所に対して、遺産分割調停の申立てをすることができます。
自分たちでは話し合いで結論を出せないので裁判所に手伝ってもらい話し合いで解決しましょうということです。
家庭裁判所に対して遺産分割調停を申立てると、申し立てた相続人以外の相続人全員が調停の対象になります。調停は裁判官と調停委員で構成する調停委員会が相続人それぞれの主張を聞き取りをして相続人全員が合意できるように、現実的な案を出したり助言を与えたりします。 最終的に全員が合意することが調停で解決する条件です。
遺産分割調停を行うメリット
遺産分割は当事者同士の協議で終わらないことも多く、非常にメリットが多くよく利用されています。
相続人同士の揉め事が減る
遺産分割協議で相続人や親族だけで話し合うと、感情がぶつかってしまい冷静になれずこじれることがよくあります。
相続人同士、それまでの長い間にできたお互いの関係や感情がありますし、親族だけになると遠慮がなくなるというのもあるかもしれません。
ここに裁判所が第三者として間に入ることで、お互いに言い合うのではなく調停委員を通じて意見を伝えることができるので悪感情が膨らみにくい形で進められるでしょう。
遺産分割協議は裁判所に申し立てるなんて感じが悪いと思われることもありますが、専門家に相談して穏便に解決できる素晴らしい手段でもあるのです。
各相続人の意見が整理される
相続人同士では専門的な知識が乏しくお互いの希望を言い合うだけの堂々巡りになりがちな遺産分割協議も、調停委員が他の相続人の希望を踏まえて公平に整理してくれるので前に進みやすくなります。また相続の経験が豊富なプロが調停委員ですから、状況に合った解決案をいろいろ提示してもらうことができます。
素人がインターネットで探してきた知識のかけらを集めて話し合うよりも、全体を把握して解決に向けて進めてくれるのはとてもありがたいです。
現実が見えてくる
法律の専門家でしかも相続のプロが合意のために案を出してくれます。第三者の公平な立場で各相続人と接するので、利害が対立している相続人同士で話すよりも素直に聞くことができます。それにやっぱり法律の専門家が法的な知識や前例なども交えて話してくれるので、各相続人も客観的にどのあたりが現実的な分割案なのかが見えてきます。
相続人同士で話していると、どうしても考えが一方的になったり自分が正しいと考えてしまいがちです。意地の張り合いになることもありますし、まとめる決め手というのがなかなか見つからないこともあります。そこを公平な立場で正してくれる調停委員がいると、冷静になりほかの意見も受け入れやすくなるのではないでしょうか。
遺産分割調停と遺産分割審判の違い
遺産分割調停は、家庭裁判所が用意する調停委員が間に入って行われる話し合いです。各相続人は調停委員に事情や希望を話し、調停委員はそのうえで中立の立場で各相続人と話しますが、最終的に合意するかどうかは各相続人次第です。
それに対して遺産分割審判は、相続人から申し立てを受けた家庭裁判所が、遺産分割について決定を下し、その決定により遺産が分割されます。
相続人は遺産分割協議で合意が得られない場合に、家庭裁判所に対して遺産分割調停でも遺産分割審判でも好きな方を申し立てることができます。ただ遺産分割調停は最終手段のようなものなので、裁判所は遺産分割審判が先に申し立てられても、話し合いの余地があると判断した場合は調停をすすめる形になっています。
逆に遺産分割調停を行っても結局相続人全員の合意に至らない場合は、遺産分割調停は自動的に遺産分割審判に移行します。