相続欠格とは
相続欠格とは、法律上は相続人に当たる場合に、相続に関して一定の不法行為を行った場合に、相続人の資格を失うことです。
まず、自分と同順位か上の順位の人を殺すか殺そうとして刑が確定した場合。
それから、誰かが故人を殺したことを知っていて黙っていた場合。
ほかには、詐欺や脅迫で相続を有利にしようとしたり、遺言書を自分に都合よく改変した利した場合。
どれも常識的に考えて、相続をさせてはいけない内容ですし、これを法律で定めることで相続に関する犯罪の抑止力としての効果を期待しているのかもしれません。
また相続欠格とよく似た制度で「相続廃除」というものもあります。
(相続人の欠格事由)
民法 第891条次に掲げる者は、相続人となることができない。
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC891%E6%9D%A1
相続欠格の効果
法定相続人のみが対象で、相続欠格になった場合は遺留分の請求権も失います。
また遺言で遺産の受取人に指定されていた場合は、受け取ることができなくなります。
相続欠格と代襲相続
例えば、相続順位1位の子供が相続人だったのに相続欠格になってしまった場合は、第2位の父母や第3位の兄弟姉妹ではなく、子供が欠格になった親の代わりに代襲相続します。
悪いことをしたのは個人の責任で、その子には罪はないといった感じでしょうか。
(子及びその代襲者等の相続権)
民法 第887条https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC887%E6%9D%A1
- 被相続人の子は、相続人となる。
- 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
- 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
相続欠格と相続廃除の違い
相続欠格は、欠格事由に定められた行為に該当すると自動的に相続する資格を失います。
相続廃除は、相続欠格よりも少し軽く、被相続人に対して虐待・重大な侮辱があったり、ひどい非行があった場合に、被相続人が家庭裁判所に廃除を請求する、という制度です。
相続欠格の原因はほぼ犯罪行為ですので、相続廃除よりもワンランク強いといえるでしょう。
(推定相続人の廃除)
民法 第892条遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。